セクシュアリティの問題を考えてみましょう |
|||||||
白血病(血液がん)には抗癌剤を使った化学療法治療や造血幹細胞移植治療など理解困難な治療をしなければならなくて、なにがなんだか分らないまま時間が過ぎていってしまったという方も少なくないのではないでしょうか。 発病間もない時は、誰もが命のことだけを考えて治療を受けていると思いますが、治療を終えて落ち着いたとき、「元の生活へ戻りたい」「普通の生活をしたい」と思うのもまた当然のことだと思います。 そのとき、なかなか相談できないのが性の悩みだということを知り、私はなにか役に立てないかと考えてきましたが、血液がん患者の数は少なく、特に女性特有のセクシュアリティの問題は「どんなことで悩んでいるのか」のデータもなく、医師も相談されたとしても対処が分らないというのが現実なようです。 |
|||||||
性の問題は生活の中でも大切なものです。がん患者さんが性の問題を悩むのは決して贅沢な悩みではありません。苦しく辛い治療を経た患者だからこそ、これからはたくさん幸せになってほしいとも私は思います。 さて、では血液がんになった患者さんの性の悩みとはいったいどのようなものがあるのでしょうか? |
|||||||
・・・いろいろありますね。 キット、もっともっと、たくさんあるんだと思います。 みんな同じような悩みを抱えているのではないかと思いました。 |
|||||||
2006年2月24日の造血細胞移植学会で発表された渡邊知映さんの「化学療法が与える女性患者のセクシュアリティへの影響について」の講演では全国の血液内科医師500名にアンケート調査を行った結果、約90%以上の医師が治療後に不妊について相談を受けたことがあると回答したそうです。 具体的な相談内容は「不妊になる可能性」、「治療後の妊娠の安全性・催奇形性」、「子への遺伝」、「配偶子凍結保存について」であり、そのうち半数以上が対応困難だった経験があると答えているそうです。 多くの血液内科医は相談は受けているが的確な答えを患者へ示せなかったということではないでしょうか。 このデータは不妊の相談へ限られていますが、こうした相談をされたときに医師はどのように感じているかと言うと、ほとんどの医師が不妊について相談に乗るのも仕事だと思っているという結果が出ています。つまり、遠慮なく先生へ相談して良いのです。ただし「不妊の話は居心地が悪い」と感じている医師も20%弱ほどいて、「忙しくて不妊について話す時間が不十分」だと半数以上は思い、更にほぼ全員の医師が「情報が不足している」と感じている結果が出ていると言うことは適切なアドバイスをもらえないかもしれませんね。それにお互いを知っているがゆえに話しにくい問題なのではないかとも思いました。 また、「不妊について治療前に説明をするか?」との問いには「生殖年齢の患者全員に説明すると答えたのは約40%、「場合によっては説明する」が約60%で、「説明していない」は1%という結果だったそうです。 |
|||||||
アメリカではホルモン療法(HRT)により、性的満足度の低下を防いだとのデータがあるようですが、日本でもホルモン療法を受けている方は多いと思います。しかしながら日本の血液内科の移植医の中ではHRTに関して、開始のタイミングなどの考え方が統一されているわけではなさそうです。 |
|||||||
さて、移植をした女性患者さんは放射線の影響でしょうか、膣が収縮してしまったり潤滑液が出なくなってしまったりすることがあるようです。男性の患者さんは勃起障害などがあると耳にします。でも、諦めないでください。 セックス・カウンセラー日本性科学会カウンセリング室 http://www14.plala.or.jp/jsss/counseling/へ相談することでクリアできることもあるかもしれません。 また、「がん患者の〈幸せな性〉あなたとパートナーのために」(アメリカがん協会・編、高橋都+針間克己・訳 春秋社¥2,100)という本があります。是非ご一読をお勧めします。 2007年5月、東京・青山の日本性科学会カウンセリング室において、がん治療を受ける方およびパートナーの方向けの性カウンセリング窓口が開設されました。お申し込みはこちらからどうぞ。 |
|||||||
TOP page |