ドナー保険要望書
末梢血幹細胞ドナー向け「ドナー団体傷害保険」発売のお願い


 春暖の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

私は家族が白血病となり造血幹細胞移植を受ける必要があったため、末梢血幹細胞のドナーとなった経験を持つものです。愛する家族を救命するため末梢血幹細胞を提供する血縁ドナーが安心して採取・提供に臨めるよう、貴社が末梢血幹細胞ドナーのための「ドナー団体傷害保険」を開発、発売してくださいますよう、ここにお願い申し上げるものです。

ご承知のとおり、骨髄移植におきましては貴社のご尽力によりドナー団体傷害保険が古くから普及し、非血縁ドナーについては全員が骨髄移植推進財団を通して同保険に入っています。また、血縁ドナーも骨髄採取の場合は同保険に入ることができます。ところが、末梢血幹細胞移植のドナーに関しては現在、同様の保険が存在しないのが実情です。

わが国の末梢血幹細胞提供・移植は現在、年間約800例が実施されており、保険適用となった2000年4月以降だけでも累計は2800例を超え、血縁者間の造血幹細胞移植は末梢血幹細胞移植が主流になっています。血縁ドナーは骨髄提供を選べばドナー団体傷害保険がありますが、末梢血幹細胞移植を選択すると保険がないという理解しにくい状況となっております。

つきましては、貴社が末梢血幹細胞ドナーのためのドナー団体傷害保険を開発し販売して下さいますよう切にお願い申し上げます。愛する家族を救うために自ら多少の犠牲をいとわず末梢血幹細胞を提供しようとするドナーが少しでも安心して採取に臨めるよう、貴社のご英断を強く期待いたします。末梢血幹細胞ドナーの安全情報については日本造血細胞移植学会が一元的にフォローアップデータを集約しており、保険開発に当たっての評価情報も十分に蓄積されていると拝察いたします。また、米国では非血縁者においても、末梢血幹細胞の提供件数が骨髄の提供件数を上回り、多くのドナー安全情報が開示されています。なお、価格設定につきましては骨髄提供に関するドナー団体傷害保険の水準(2万5000円)を上回らないようご配慮をいただければ幸いです。

末梢血幹細胞ドナー向け「ドナー団体傷害保険」の発売は、多くの血縁ドナーに安心を与え、さらには提供を受ける患者のためにも重要な役割を果たすでしょう。ひいては貴社の社会的貢献を広め名声を高めるものと確信いたしますので、貴社のご英断を心よりお願い申し上げます。最後になりましたが、貴社の益々のご発展を心より祈念しております。



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