econd opinion
second opinion
セカンド・オピニオン

2003/6

セカンド・オピニオンとは「第二の意見」という意味です。医療の場で使われる場合は「別な施設の他の医師の見解」とでも言うと良いのでしょうか。『second opinion』と言う文字は新聞などで目にしたことがありましたが、取り立てて必要だと考えたこともありませんでした。しかし、私はShinの発病後、N大学病院で初めてのカンファレンスの時、主治医へ「セカンド・オピニオンがほしいと思っている。」と言いました。私は、ただただ、白血病治療が目覚しい進歩を遂げている中、最良で最善の治療を受けさせてやりたい気持ちの現れだったのです。

主治医は「担当医である私達医師団を信頼してほしいが、セカンド・オピニオンを希望する場合は、いつでも情報提供書を書きますので申し出て下さい。」とおっしゃって下さいました。帰宅後、父は「よその医師の意見を聞くなんて、主治医に対して失礼だ!」と私を激怒しました。「良さそうな先生じゃないか、何が気に食わないのだ?あの先生へ診ていただくことになったのは"ご縁"があるということだ。主治医が気分を害したらShinの治療に支障をきたすのではないか…?」と。そうなったら「お前のせいだ!」と言わんばかりの剣幕でした。

死に至るかも知れない疾患に冒された患者が、最適な治療を受けようとすることは決してエゴではない。」私の読んだ本には、そう書いてありました。
古い日本人気質を持つ私達の両親のような世代には考えられないことなのかもしれない。でも、家や車、たとえスーツ一着を買うにしても、あらゆる店舗でいろんな商品を見て、よく検討してから購入するでしょう?それが、何より大切な「人命」に関わることなのに、そんなに簡単に病院や治療方法を決定していいのでしょうか?まして症例数が少ない病気や、試験的な治療をする場合、一施設、一人の医者の知識には限界があるのではないでしょうか?決して主治医の見解が間違っていると言っているのではなくて、現在の治療方法は正しいと確認・安心するためにもセカンド・オピニオン、サード・オピニオンは必要ではないだろうか、と私は思います。

患者や家族は安心して治療を行うために、セカンド・オピニオンを求めるのを躊躇ってはいけないと思います。不安感を取り除き前向きに病魔と闘うためにも、第二の医師の目である意見を聞く必要があると思うのです。

セカンド・オピニオンを求めたいと言ったら怪訝な顔をする医師は、セカンドオ・オピニオンを求められたことがない医師なのではないでしょうか?他の施設の患者から相談をされる(セカンド・オピニオンを求められる)医師は「他の施設の医師の意見も聞いてみたい」と言う患者の意志を尊重するはずです。
特に試験(治験)的な治療を受ける場合は、その試験(治験)に対する客観的な意見を求めるためにも、副作用や治療の妥当性などを、その試験(治験)を行っていない施設の専門医から意見を聞くことは必要だと思います。

主治医の説明が、リスクの話ばかりが中心になったり、病状が悪化した時を想定して、まるで脅しのような言葉を浴びせるケースも多いと聞きます。
確かに、白血病は治癒が困難です。まして移植をする場合などはリスクが非常に大きい。しかし、完治を期待して患者は頑張るのだから、説明の仕方を考えてもらいたいものです。患者が治療を諦めてしまうような発言があったりしたら、そんな時は迷わずにセカンド・オピニオンを求めましょう!
治癒へ向かって、どんなことが期待できて、どんなことが予測不可能なのかを、患者と家族が納得するように説明してもらいましょう!
曖昧な説明やリスキーなことばかりを「もしも、悪い結果になっても私(医師)のせいではない…」というようなニュアンスで一方的に伝えられると、患者と家族は心に大きな恐怖感を抱えて、不安で不安で仕方がありません。

医師は全ての答えを知っているわけではありません。神様ではないのです。
安易に、一人の医師へ「命」を委ねずに、セカンド・オピニオンを求めましょう。

素晴らしい医師は大勢います。日進月歩の医学情報を日々収集・分析し、患者を第一に考えている素敵な医師が手を伸ばせばすぐそこにいるのです。


2004/8追記

上の文章を書いてから一年数ヶ月が過ぎました。
患者さんのsecond opinionのお手伝いをすることもあり、微力ながら相談も受けてきました。この一年間、自分が患者家族としてではなく、少し距離を持って改めてsecond opinionを考えてみて気がついたことなどを追記したいと思います。

「second opinionを貰うにはどうしたら良いのか、second opinionをどの先生から聞いたらいいのか?」この質問が一番多く私の元へ届きました。
ご意見を伺わせていただける先生のリストは骨髄バンクのHP上などに公開されていても、その中からDrを特定するのは難しいですよね。
私は治療をしている地域から離れた地域の施設のDrに伺うのが良いのではないかと思っています。例えば東京で治療中なら関西や九州や北海道などの中で症例数の多い施設のDrへ伺うことが有効なのではないかと思います(地域によって基本的な治療法が異なっていたり、諸先生方の考え方が微妙に違っていたりするようだからです)。そのためにも各施設の症例数の一覧は必要なデータだと思います(非血縁症例数が中心で骨髄バンク認定施設以外は不明ですが)。

second opinionを貰うには「主治医へ申し出て、情報提供書を書いてもらう」ことなのですが、それを言い出すことに気を使う患者さんが多く、「どうしたら主治医の機嫌を損ねずにsecond opinionを聞きに行けるか」との悩みを抱えた方が想像以上にいらっしゃいました。「言い出せない」ことが既に主治医との関係が良好ではないということに気付かれていないのです。
この“はじめの一歩”に時間が掛かる患者(家族)さんもいれば、急展開して理想的な闘病をされた患者さんもいます。

また、勇気を振り絞ってsecond opinionを聞きに遠方まで出向いたのに「スタンダードな治療をされていると思います」とか「主治医を信頼してほしい」とか、そっけな〜いお返事しか下さらない先生もいて、「帰りの車中では気が抜けちゃって、いったい何のために行ったんだろう?と思ったわ…」とおっしゃる患者さんの話も耳にします。もちろん、その先生がそのように思われたのでしょうから、それに対してアレコレ言えないけれど、少なからずや患者は「現在の治療に不安を抱いているので意見を聞きたい」と出向いたわけで、その行動に対して何かしらの「行って良かった!」と思えるお土産を持たせてほしいなぁ〜と思います。
また、人によっては「医師の身にもなって下さい」と言う先生もいます。そんな先生には「患者の身になって医療をするのが医師じゃないの?」と質問したいくらいです。
しかしながら、本当は医師と患者の双方がお互いに学びあい成長しつつ友好な関係を築きながら治療を進めていくのがベストなんだろうと思います。「言うは易し・・・」ですね。

しかし、second opinionを引き受けてくださる多くの先生方は、貴重な意見と大きな愛情を感じさせて下さるはずです。
また、それをキッカケに折々に相談できる間柄になることも少なくないようです。

行動を起こすことは良き医療を受けるチャンスでもあります。患者サイドも努力をしなければ、より良い医療は望めないのだと思います。

second opinionを受けることは時にして傷つくこともあります。でも、負けないで下さい。その分ファイトが湧きます。
“闘病”をするということは“生き方”を学ぶことに繋がっていると思うので。



【参考になるサイト】
※セカンドオピニオンネットワーク(セカンドオピニオンのためのサイトです)

※骨髄移植推進財団JMDPセカンドオピニオンのページ(医師リストがあります)


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