ドナーになる予感
2003/6
Premonition
ドナーになる予感

Shinが発病して、「骨髄移植しか完治の道はない」と知らされた時、不思議なことに私には自分がドナーになることになるだろうという予感があった。(直感?)
姉弟のHLA型がピッタリ合う確立は4分の1と聞いていたけれど、HLA型がピッタリ適合するとも思わなかった。
だから、今考えると、“なるべくしてなった”って感じがする。
でも、でも、私は骨髄バンクでHLA型完全一致のドナーさんを探したかったし、治癒率の高い「オールマッチの移植」をさせたかったことは変わりない事実。患者家族はいつでも○%や○割という数字に振り回されるものだから。

私は献血をしたことがなかった。献血をしたくても貧血(Hbが10くらい)で、出来なかった。
しかし、子供は普通に(二人も!)産んでるし、貧血で倒れたこともない。だけど、Shinが発病して「もしかして…」と思ったとき、私は病院へ行き「私はドナーになれますか?」と聞いていた。
採血検査の結果はやっぱり貧血・・・。とりあえず、「増血剤の点滴をしましょう」と一週間点滴に通ったが、Hbは逆に低くなるありさま。血液内科の専門医からの説明は「そういうタイプなんですね」って。
Feは充分にあるので、鉄欠乏性の貧血ではないのだそうな。
「じゃ、どーすればいいんですか?」という私の質問に「ドナーになるって確定したら考えましょ」だって。ふ〜ん、そんなのあり〜?って感じだった。
結局、私がドナーになるって決定するまで、毎日、母が栄養価の高い食事を山ほど作り、「体重を増やせ。Hbを増やせ!」と、まるで私は家畜のごとく食べさせられたのでした。
おかげで私は体重が5kg増え、ナントHbも13にまで上がったのです。
こうして、骨髄バンクからのドナーさんを待ちわびながら、私は自分がドナーになるかもしれないと準備を着々と進めていました。

当初、主治医からの説明で私が弟のドナーになる場合は、末梢血からの採取になると聞いていたので、骨髄採取と末梢血採取との違いについて調べていた。
骨髄採取にはドナー保険があるけれど、末梢血採取には保険がない。もしも採取中に何か事故があっても生命保険は出ないそうだ。生命保険会社はPBSCHを“自殺行為”とみなすと知ったが、ここで腹を立てても仕方がない。いつか、機会があったら、「PBSCH(末梢血幹細胞採)に保険を!」と叫ぼう。社会的なサポートがないのはおかしい。

末梢血幹細胞採取は細胞数を確認してから冷凍保存をするので、細胞数があらかじめ充分に取れたかどうかが判るので安心だと思った。
それに、私は自分の身体のリスクよりも患者である弟に利点がある採取をしてほしいと望んでいたので、何も迷うことはなかった。
私と弟との体重差は20kg以上もあり、移植する細胞数が充分に得られないと不着の恐れがあること、末梢血から採取された幹細胞のほうが血球の回復が早いという事例が多いことも聞いた。血球の回復が早いと言うことは感染症のリスクも少なくなるのだろう・・・。

そして、私に皮下注射されるG−CSF(私の場合はグラン)は、弟がナディアの時に投与し、骨の痛みを訴えていたので、痛みのことも知っていたし、長期の副作用等のデータが無いことなどの理解もしていた。

PBSCH
末梢血幹細胞採取へ


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