いよいよCampath−1Hの点滴が始まる。

熱が出るそうな・・・

ご期待通り発熱!



白血球も下がり、部屋にアイソレーターが運ばれる。めっちゃ具合が悪い中、部屋の模様替えをする。(どうしたことかと思われたであろうが、アイソレーターのビニール越しだとTVが良く見えないから、ベッドを部屋の真中に移動させてしまった。ちょっと大胆?)


TBI(全身放射線照射)がはじまる。
これが嫌だ!まるで棺である。木で出来た箱に入り、まわりにビーズの入った袋を置かれて固定される(オイオイ、花でも敷き詰めてるんじゃないだろうな?まるで死人だよ、これじゃ。)おまけに蓋までされてしまう。(息が出来ないから酸素マスクをつけられる)その蓋の上に肺を覆う(僕の肺の大きさに合わせた)鉛で出来たブロックをする。
桑田のソロのCDをガンガンにかけてもらう。
放射線科の若い先生はジャケットを見ただけで「桑田ですね?」だって。思わずニヤッと笑う。
一曲目は「波乗りジョニー」イケイケだぜ。
照射時間は最初は一時間半だって。長い、なが〜い、長すぎる〜。
一枚目が終わって、「二枚目をかけてくれ〜」と言おうとしたら、終わった。
気分が悪い。そりゃそうだ、乗せた蓋に自分の顔が移るんだもん。
こんなことって・・・。文句がいえるものなら、大きな声で言いたい。

翌日、主治医の神田先生が来たからTBIの話をする。
箱に入る嫌な全身放射線照射(TBI)のやり方はこの病院ならではのものと説明をされて納得する。
箱に入って、ビーズで固定することにより、身体の厚みを均等にし、全身にくまなく照射するそうである。
ほ〜、そうだったのかと少し気が楽になった。こういう説明が大切だ!
納得した上の治療が望ましいんだから。先生、どの患者さんにも説明してやってね。インフォームドコンセント!
翌日は放射線の先生方と記念撮影。「ここで写真なんて撮るの初めてだよ」と言われた。みんな快く笑ってくれたが俺だけは全く動けないぞ!でも良い記念。思い出になるよ。
今日は何のCDですか?と聞かれた。もしかして先生方楽しみにしてるの?俺がCD持って来るのを。
ご期待に答え毎回違うCDを選んで行く。(注意:この場で聞いたCDは移植後には見るのも嫌になったので、絶対に好きなCDは持っていかないほうが良いと思う)
3日間のTBIも発熱はあったものの、なんとか無事に終わり(時間的に夜遅かったりしたけれど)明日は無菌室へ入室だ。



朝9時半にイソジン・シャワーを浴びなくてはならない・・・。
姉が来て荷物をまとめる。最小限度の物以外はもう殺菌?滅菌?して入れてあるので、パソコンと貴重品程度を無菌室へ入れてもらい、後は持ち帰ってもらわなくてはならない。

無菌室は二重ドアになっている。病友の辰ちゃんが見送りに来てくれ、姉と二人で入室を見守ってくれた。
ちっとも厳粛じゃない「逃げ出すなら今だ!」と、走って逃げる振りなんぞしてみる。逃げたい・・・本当にそう思った。でも、そういうわけにも行かないよね、ここまで来たんだから。辰ちゃんの目がウルウルしてるが姉貴は「早く入んなさい!」とばかりに見ている。思わずサービス精神が働き、ふざけてみる。
看護婦さんは妙に気を使い、別れを惜しんでほしそうにしている。そんなもん、惜しむか!あっという間に出てきてやるんだから、と意気込む。

シャワー室へ促される。あれ?イソジンじゃないぞ!普通に石鹸(ボディーソープ)で身体をこすらないで洗うだけでよいそうな。ほほ〜、楽勝楽勝!
このシャワー室は病棟の廊下と隣接しているので辰ちゃんと姉貴の影が見える。
さてはオヌシ達、覗いてるなぁ〜?「イソジンじゃないよぉ〜!」と窓から言ってみると聞こえるようだ。風呂場の廊下越しに話をする。タララ〜ン♪とパジャマを脱ぐと、その鼻歌も聞こえているらしい。ゲラゲラ笑い声が聞こえる。

実に厳粛ではない無菌室入室であった。

無菌室用の黄色い寝巻きを渡されるが3Lなのに非常に小さい。二重ドア越しに辰ちゃんへボディーランゲージで「これで3Lだって、小さいよね〜?」と伝える。辰ちゃんは俺より少しデカイから、困った顔をしてた。ツンツルテンだし、大事なところ(ズボンの社会の窓と呼ばれる部分)にマジックで「無菌室」と太マジックで書いてあるのが恥ずかしい。何でこんなところに書くんだろう・・・、もう少し場所を考えてほしいもんだ。
まだ、二人がいるからバイバイって手を振って545と書かれた無菌室へ入っていった。



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