★血縁ドナーになる方へ

あなたの血縁の誰かが「骨髄移植が必要」だと診断され、
ご家族・ご親族の方々がHLA(白血球の型)を調べ、
そして、その検査結果、あなたが適合されたのですね。

ご家族・ご親族、そして患者さんは、さぞかし喜ばれていることでしょう。
そして、あなたへ心から感謝していることでしょう。

しかし、ちょっと自分の心の中を振り返ってみて下さい。
みんなの喜びとは別なところに、
あなたは誰にも言えない不安や悩みを抱えていませんか?
ドナー決定の気持ちに無理がありませんか?

ドナーになるって、急に降りかかってきた話だから、
何がなんだか分からない…って感じたりしていませんか?




造血幹細胞の採取方法は二通りあることを知っていますか?
骨髄採取(BMH):全身麻酔下で腸骨の後部から数十回以上、採取専用の針をさし、幹細胞が含まれる骨髄液を注射器で吸引する方法です。採取時間は1〜2時間で、あらかじめ採取保存しておいた自己血を輸血します。入院は採取後2〜3日です。
末梢血採取(PBSCH)G−CSFという白血球を増やす薬を投与し末梢血中に幹細胞を動員し、成分献血のようなシステム(アフェレーシス)で採取をする方法です。通常は2〜3時間の採取を2日行います。(私の場合は連日5時間で3日間かかりました…詳しくは私の経験のPBSCHのページをご覧下さい。)入院期間はG−CSF投与に3日、採取に2日かかるので約一週間といったところが多いようです。
ミスマッチ移植やミニ移植の場合はプロトコールで末梢血採取に限定されている場合もあります。ちなみにShinの移植方法「Campath-1H」場合は末梢血幹細胞移植(PBSCT)に限定されています。(理由はミスマッチ移植の場合は拒絶の危険度が高いので細胞数が多く採れるPBSCHで採取するそうです。)

では、ここで大まかなメリットとデメリットをを並べて見ましょう。
骨髄採取 末梢血採取
メリット 長期副作用の有無が不明な
G−CSFを投与する必要がない。
体外循環で長時間拘束されない。
入院期間が短い。
ドナー保険に加入できる。
麻酔の必要がない。
全身の骨に分布した造血組織から
満遍なく大量の幹細胞が採取可能。
移植後の造血・免疫回復が早い。
採取後凍結保存し、細胞数が把握できる。
デメリット 全身麻酔が必要
腸骨に何十回も針でさし吸引
G−CSF(コロニー刺激因子)投与が必要。
アフェレーシスでの副作用(痺れ、吐き気)

このように双方を比較してみても、ドナーへの副作用や負担、患者への治療効果ともに、
骨髄採取と末梢血採取の優劣は、はっきりとしていないと言われています。

日本造血細胞移植学会の情報によると、現在の血縁ドナーの採取方法は末梢血からの採取が主流になっており、年間800人以上の血縁ドナーがPBSCH(末梢血採取)をしているのが現状です。
しかし、骨髄バンクを通して提供を行う非血縁ドナーには適用されておらず、現在はPBSCH適用について調査する委員会で検討がされているところです。
[梢血移植、非血縁者間も可能に 厚労省が方針]
asahi.com 2008年03月08日


あなたは造血幹細胞移植のドナーになるということをちゃんと理解しているでしょうか?
同種末梢血幹細胞ドナーの同意を得るに際しての説明用資料http://www.jshct.com/guide_pdf/doui_donor.pdfこのような説明を医師より受けたと思いますが、全ての意味が十分に把握できたでしょうか?

あなたは自由意志によって、提供するかどうか(ドナーになるかどうか)を決定できるのですが、あえて、自分に「ドナーになるかどうか?」の問いをしましたか?

G-CSFによるPBSC(造血細胞)の動員やアフェレーシスのPBSC採取に関する目的、方法、危険性と安全性の説明を医師より詳しく説明を受け、文書による同意をするのですが、その説明の全てを理解することができましたか?


※私は正直に言うと、医師からの説明内容も記憶が曖昧で、書面で同意したことすら覚えていません・・・(ーー;)
移植をしないと助からないShinのことばかりを考えていて、自分の身を振り返る余裕がありませんでした。



PBSCHはいつから行われているのでしょうか?
日本では1990年代の後半から積極的な臨床応用が始まり、2000年4月に診療報酬改正で同種末梢血幹細胞移植の健康保険適用が承認されました。


G-CSFの投与を避けなければならない人は?
G−CSFに対するアレルギーがある人。
妊娠、あるいは妊娠している可能性のある人。
血栓症の既往あるいはリスク、基礎疾患として高血圧、冠動脈疾患、脳血管障害、糖尿病、高脂血症などを有する人。脾腫を認める人。
白血球増多、血小板増多など骨髄増殖性疾患が疑われる人。
間質性肺炎を合併あるいは既往として有する人。
癌の既往(G-CSFによる腫瘍の再発や新たな発生を否定できないため)を有する人。
治療を必要とする心疾患、肺疾患、腎疾患を有する人。
自己免疫疾患を有する人。
肝機能障害を有する人。
神経障害を有する人。


G-CSF投与による有害事象の説明を聞きましたか?
G-CSF投与に伴う短期的有害事象としては、重大なものとして、ショック、間質性肺炎のほか、腰痛、胸痛、骨痛、背部痛、関節痛、筋肉痛、血圧低下、肝機能異常(AST、ALT、LDH、ALP上昇)、発疹、紅斑、悪心、嘔吐、発熱、頭痛、倦怠感、動悸、尿酸値上昇、血清クレアチニン値上昇、CRP値上昇などがあります。
その中でも高頻度に現れるのが、骨痛(71%)、全身倦怠感(33%)、頭痛(28%)、不眠(14%)、食欲不振(11%)、悪心嘔吐(11%)などが報告されています。いずれもG-CSF投与終了2−3日で消失するが、必要に応じて鎮痛剤などが投与されます。
G-CSFを投与中止しなければならないような重篤な有害事象は稀ですが、これまで心筋梗塞、脳血管障害、脾臓破裂、などの他に死亡例も報告されています。
つまりドナーになると言うことは「死をも覚悟した、あくまでも善意のボランティア」と言えるのではないかと思います。


血縁ドナーは「降って湧いた話」
骨髄バンクに登録しているドナー登録者は、骨髄提供にはリスクが伴っていることを承知しています。説明員から話を聞き、ビデオを見たりしているので、およそのことは理解しているのです。(それでもドナー候補に選ばれた時点から意思確認が何度も行われます。あらゆる検査を進めて行き、最終同意では弁護士が立会いのもとで同意の確認を取ります。)
ところが、血縁ドナーはどうでしょうか?もちろん、骨髄バンクに登録をしていた人は事前に心構えができているでしょうが、多くの人の場合が「降って湧いた話」なのではないでしょうか?
闘病している患者は自分の身体にとってのりメリットとデメリットの両方を天秤に掛けて、自分の治療法を情報を集めながら選択する時間があります。しかし、血縁ドナーは自分自身にとっての有益性はひとつもありません。あくまでも別の人間を助けるための医療行為という現実があります。そして何よりゆっくりとドナーになるかどうかの自己決定をするための充分な時間がありません。


ドナーは自己責任のもとで自己決定
本来、ドナーになるということは、選択する能力を持つ人間が充分な情報を得たうえで判断し、もしも自分の選択に失敗した場合、そのリスクを十分に負う覚悟があるという前提で決定しなければならないことです。しかし、現実的にはみんながみんな自己責任のもとに自己決定できる人ではないでしょう。それに血縁だから断れない…と考える人も多いのではないかと思います。



末梢血採取にはドナー保険がない→やっと、できました〜(*^_^*)
一人の人間の命を救うために善意として提供するドナーには社会的サポートが必要だと感じていますが、現在、そのようなサポートはどこにもありません。
血縁でも骨髄採取の場合は「骨髄バンク団体障害保険」(骨髄バンクを経由して提供される全ての患者が、非血縁ドナーへ掛ける保険です)に加入できますが、末梢血採取ドナーの場合は、この保険の適用になりません。

※私は「なぜ、適応にならないのか?」と褐生会(03−3255−6314)に電話をしてみました。
回答は「末梢血採取は骨髄採取より安全性が高く、そんなに多くの採取が行われていないから、保険を適応する必要はないと言われています。」と言われました。私は絶句しました。
だって、死亡例があるのですよ。“骨髄採取より安全性が高い”とか、年間800人以上の採取が行われているのに“採取の件数が少ない”とか、それは明らかに間違っていると思いました。
そこで私は2004年3月に末梢血採取ドナーにも適応するドナー保険を要望しました。その後、学会から検討資料も渡り、商品としての販売へ向けて進んでいると連絡を頂いています。
ただ、ここで問題があります!この保険が販売されたら、末端の血縁ドナーへどのような方法で知らしめるかです。この件に関しては各病院の移植医から血縁間移植をする患者や血縁ドナーへ知らせていただくしかないのかも知れません。ぜひ、移植学会の先生方へご検討願いたいものです。


☆できました!! 
2006年3月に末梢血幹細胞ドナーにも団体障害保険ができました〜(*^_^*)



1採取あたり25,000円です。
加入に関してのお問合せ先は株式会社厚生会03-3255-6314です。なお、この保険は医師(日本造血細胞移植学会)経由でなければ加入申し込みができませんので、詳細については移植患者担当医師へお尋ねください。取引保険会社は東京海上日動火災保険株式会社です。

「末梢血幹細胞ドナー障害保険の開発について」


生命保険も免責…
通常の生命保険では採取に関して何かアクシデントが起きた場合も免責になる可能性が高く、生命保険の保険金はおりません。自殺行為と同じだと判断をされてしまうそうです。そんなバカな話って・・・おかしいと思いませんか?多くのリスクを承知してドナーになるってことはそういうことなのだそうです。


血縁ドナーへの社会的サポートの必要性
私は血縁ドナーを守ってほしいと望んでいます。もちろん患者の命を救うことは一番大事です。これは言うまでもありません。しかし、ドナーの不安に蓋をしたままの採取提供は、その後、諸々の問題を発生させる要因となる可能性があります。
血縁間移植にもドナーのコーディネートは必要だと実感しています。コーディネーターからの説明、意思確認、その他メンタルケアーも含めてドナーサポートの必要性を求めて行きたいと思います。



★Milkyが考える理想的な血縁ドナーへの道

親族が病気になった時、親戚縁者はそれぞれの立場で“出来ることと出来ないこと”があります。
患者も家族も親戚も、闘病後に仲良くお付き合いが出来るよう充分な配慮が必要だと思います。
下記はあくまでもMilky個人的な考え方ですが、「こうだったら良いのになぁ〜」とまとめてみました。


※前提として患者には血縁者ドナーに関する詳細な状況は伝えない。(患者の人間関係を歪める懸念があると思われるので、誰が検査をしてくれたのか、誰が適合しなかったのか、誰が断ったのかなどを一切知らせないようにする。)
※血縁ドナーの「コーディネーター」と「相談窓口」が必要だと思います。
※「末梢血採取ドナー傷害保険」の早期発売を求めます!



、ドナーとなりうる血縁者の一覧を家族から提出してもらう。(名前と連絡先)

、血縁ドナーコーディネーターが、適合する可能性が高い順にドナー候補者へ連絡を取る。

、造血幹細胞を提供する(ドナーになる)ということが具体的にどのような事であるのかを、分かりやすく書いた説明書(冊子のようなもの?)を事前に渡し、患者の担当医以外の医師から正確に説明を聞く。(可能ならば施設が別なほうが望ましいのかもしれない)

、説明を受け、ドナーになる意思のあるドナー候補者はHLAの検査をする。(検査結果は本人以外に知らせない。)

、HLAが適合した血縁ドナー候補者へ第三者(血縁コーディネーター?)が提供意思の再確認をする。(ここで、もしも、提供を拒否した場合は“不適格だった”と患者サイドへ伝える。決して「断った」とは伝えないように配慮する。)

、適合ドナー候補者から提供の了解を受けたら、それを患者へ伝え、ドナー障害保険の加入を薦める。

、ドナー候補者の家族から諸々な相談があった場合、血縁ドナー専用の相談窓口で対応する。

、定期的にドナーへフォローの採血検査等をする。




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